親の言葉
自分の言葉で話す
教室をやっていると、いろんな質問や相談を受けます。
お子さんの学習や成績のことが一番多いのですが、離婚など家族のこと、お子さんの発達のことなども伺います。
テレビを見ながら勉強させてもいいですか?
宿題をしたがらないのはどうしたらいいですか?
リビングで勉強させた方がいいですか?
学校に行きたがりません。このままでいいですか? などなど……
質問には、もちろんお答えします。
一番印象に残っている質問は「どうして因数分解を覚えなければいけないのか、大人になって使わないのに」です。
お母さまが中学2年生のお子さんに聞かれたそうです。
親も考える
もしあなたがお子さんから同じ質問をされたら、どう答えますか?
日本史も世界史も地理も物理も古典も、実生活ではほとんど使いません。
必要のない知識を詰め込むのはなぜでしょう。
因数分解でも英語でも、勉強するときに努力や工夫をします。
あなたも数学は演習を、英単語は暗記を頑張ってしたのではないでしょうか。
私はそれが大事なことだと思っています。
義務教育の9年間、学習する努力や工夫をしていたなら、就職やアルバイトで仕事をしたときに何とかなります。
逆に言えば、義務教育で学ぶことを覚えられず、努力も出来なかった人は、社会に出て上手くやっていくのは難しいでしょう。
数学者になるのであれば、もちろん因数分解は必要です。
でも、普通に就職するのであれば、基本的な社会性を身に付け、人の話が聞けて、言われたことをしっかりやり遂げる力が必要です。
その力を義務教育を通して培っているのではないでしょうか。
学習指導要領
学習指導要領解説の総説には
――教育基本法、学校教育法などを踏まえ、これまでの我が国の学校教育の実践や蓄積を生かし、子供たちが未来社会を切り拓らくための資質・能力を一層確実に育成することを目指す。――
――このため「生きる力」をより具体化し、教育課程全体を通して育成を目指す資質・能力を、ア「何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能の習得)」、イ「理解していること・出来ることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」、ウ「どのように社会・世界と関わり、より良い人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうをする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」の三つの柱に整理するとともに、各教科の目標や内容についても、この三つの柱に基づく再整理を計るように提言がなされた。――
と書かれています。
因数分解ができなくてはならないのではなく、因数分解を学ぶことで生きる力を培うのです。
それは、社会に出てより良く生きるため、幸せに生きるためです。
あなたの言葉で答える
あなたも考えて答えてみてください。
人から聞いた答えを子どもに伝えても、説得力はありません。
わからないなら勉強しましょう。
人に聞いてもいいです。本を読んでもいいし、調べてもいいです。
納得できる答えを見つけたら咀嚼してください。
何度も繰り返し考えて、自分の考えを自分の言葉にして、子どもに伝えてください。
答えを自分の言葉にするのです。
お子さんは、お父さん、お母さんに聞いたのです。
先生が言ってた、本に書いてあった、では子どもに信頼されません。
友人や同僚、知人でも同じです。
誰々が言っていた、とばかり話していると信用されません。
自分の考えをまとめましましょう。
ニュースを見て、新聞を読んで、自分はどう思うのか、自分だったらどうするだろうか、と考えてください。
目についたものについて考えることを繰り返すと、だんだん上手になります。
子どもも同じです。
あなたはどう思う?
あなたならどうする?
と繰り返し聞いてあげてください。
正解はありません。
親が子どものために一生懸命考えることが大切です。
子どもは見ています。間違ってもいいじゃないですか。
子どものために時間をかけて考える、それが大切です。
小さな積み重ねが親子関係を良くしていきます。
ポイント
- 親も考える
- 子どもの質問には自分の言葉で答える
- 子どもに、あなたならどうする?と聞く
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