しつけと虐待

しつけと虐待の違い
しつけとは、子どもの間違った行動を正し、社会で生きていくためのルールやマナーを教え、身につけさせることです。
虐待とは児童虐待防止法第二条で、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4つに分けて定義されています。
しつけとは、決して感情で言葉をぶつけたり、手をあげたり、無視することではありません。
子どもに対して不適切な行為は虐待です。
「このくらいなら虐待というほどではない」と考えてはいけないのです。
体罰をしつけという方がいます。
手をあげなければ子どもが言うことを聞かないのであれば、親としての実力不足です。
親の実力不足によって引き起こされる現実は悲惨なものです。
脳は過度なストレスによって、物理的に傷つくからです。
例えば、子どもが物を壊したとします。
「壊してはいけません。大切に扱います」というのがしつけです。
「どうして壊したんだ。おまえはバカだ。そんな子はいらない」などと言うのは虐待です。
言及するべき点は、子どもの行為であって、子どもの人間性や存在ではありません。
「バカ、いらない」などと言われた子どもは、物を壊した行為を反省するのではなく、「自分はダメな人間なんだ」と感じます。
親からのマイナスのメッセージは、子どもの自己肯定感を下げ、自信を失わせます。
子どもは人の顔色を窺い、その場限りの嘘やでまかせを言うようになります。
子どもにとって親の言葉は絶対です。親から否定されるということは、世界から否定させることと同じです。
親から認められ評価されて、子どもは健やかに育ちます。
一回だけなら、手加減すれば、子どものために、などはしつけではなく虐待の言い訳です。
子どもの心の状態に目を向けてください。
しつけの基本は、睡眠と食事と排泄です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、眠い時に寝ます。少しずつまとまって眠るようになり、夜に長く眠るようになります。
親が生活のリズムをつけます。保育園に行くために、いつも同じ時間に起きるようにしつけます。
食事は3時間おきにミルクを飲んでいた赤ちゃんが、離乳食になり、1日3回の食事になり、お腹が空いても我慢することを覚えます。
これもしつけです。好きな時に、好きなものを食べることはできません。
オムツが取れれば、排泄したくなってもトイレまで我慢します。トイレトレーニングもしつけです。
長じるに及んで、しつけの量も質も変わってきます。
「何やってるの、そんな子はいらない」「早くしなさい、のろまなんだから」「何でこんなに勉強ができないの、ばかなの」
毎日必死に家事、育児、仕事をする中で、ついつい口にしてしまったことでも虐待です。
じゃあ、どうすればいいの、と思われるでしょう。
家事、育児、仕事の忙しさと、子育ては別の問題です。であれば、別々に解決できるはずです。
仕事が忙しいのであれば転職することも視野に入れるべきです。どんなに好きな仕事であっても、子どもを犠牲にするべきではありません。
繁忙期など一時の忙しさなら、家事の手を抜く、家事代行を頼む、周りに助けを求める、行政に相談する、などあります。
行政にはシッター制度があります。各行政によって、料金など内容は変わりますので、ご確認ください。
辛くても働かなければ暮らせないのであれば、やはり行政に相談してください。
生活保護、児童手当含め、最低限の生活をする保証があります。
そこまで大げさではないのだけれど、忙しくてイライラして子どもに当ってしまう、は是非ご相談ください。
直接子どもに対しての虐待ではなく、母親、もしくは父親に対してのDVを見たり聞いたりすることも、心理的虐待になります。
夫婦喧嘩は子どものいないところか、メール、ラインでしてください。
叱るのは行為に対してです。子どもの人間性を否定しないでください。
叱り方も勉強です。ご相談ください。
コラム「傷つく脳」もお読みください。

ポイント
- ―ポイント―
- しつけと虐待は違う
- 虐待によって脳は傷つく
- こどもの人間性を否定しない
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