不登校
不登校という状態
文部科学省は不登校の定義を「年間30日以上の欠席」としています。
「不登校」とされた小中学生と高校生の数は2023年度41万5252人と過去最多を更新しています。
この数には、保健室登校、行き渋り、一時間だけ、朝の会だけ、午後だけ、部活だけなど、一部出席の生徒は含まれていません。
私の教室の近くの小学校では、ひとクラスに、完全に不登校の生徒が2人、来たり来なかったりの生徒が2人くらいだそうです。
35人学級で4人ほどです。
平均よりは多いようです。
私は子どもを無理に学校に行かせる必要はないと思っています。
学校は勉強をするところであり、人間関係、コミュニケーションを学ぶところです。
それらをできる別の場所があるのなら、無理をする必要はないでしょう。
無理に行かせようとして、不安から具合が悪くなったり、ストレスから身体状態が悪くなったり、ますます家から出られなくなるよりはいい、という意味です。
その代わりに、行ける場所を子どもと一緒に探してください。
不登校は子どもにとってどんな状態でしょう。
多くの子どもは、学校に行くべき、行った方がいい、できるのなら行きたい、と思っています。
思っているのにできないことは、心の負担になります。
そこに、親や先生から、毎日学校に行くように言われると、ますます行けなくなります。
行けないことで自己肯定感が下がります。
ますます行けなくなります。
そんな負の連鎖は断ち切りましょう。
何かしらの問題があって学校に行かないのです。
無理やり学校に行かせることが、良いこととは思えません。
大人だったら、就職した会社がブラックだったら辞めますよね。
合わない仕事、パワハラ上司、長時間残業など、辞める理由を挙げられます。
でも、子どもにとって学校はやめていい場所ではないので、行かない理由を挙げられません。
「お友だちと喧嘩をしたから、学校に行けない」と言ったら、「学校に行って仲直りしてきなさい」と言われます。
「勉強がわからなくて不安」と言ったら「もっと勉強しなさい」と言われます。
7歳になる年に、一斉に学校をいう箱に詰め込まれる状態に適応できない子どもがいても不思議ではないでしょう。
自ら就活で選んだ職場でさえ、辞めていく大人がいるのですから。
我が子が不登校になったら
親はたいていの場合、「自分の子どもが不登校になるなんて」と思います。
学校に行ってほしいと思います。
不登校の理由がわかれば、親も子も納得できます。
しかしながら、子どもに学校へ行かない理由がわからない場合が多いようです。
お子さんに、学校に行けない理由を質問、詰問はしません。
したところで明確な答えは返ってこないうえに、子どもを追い詰めてしまいます。
不登校の理由は一つではないでしょうし、子どもが明確に話せることはほとんどありません。
親が納得したいがために、理由を作ったり、子どもに理由を押し付けたりしてはいけません。
友達と喧嘩をして学校に行くのが嫌だなと思っているうちに、毎朝腹痛を起こすようになったとか、宿題ができなくて、テストの点が悪くて、給食を食べるのが苦痛で、と何かしら原因はあるのでしょうが、子どもがはっきりと学校へ行かない理由を言語化するのは難しいようです。
不登校の原因に対してのストレスに加え、学校へ行けない自分への評価で、子どもは苦しんでいます。
ですから、問い詰めたり、無理やり学校に行かせることはしないでください。
対処療法はしてもいいと思います。
朝起きられない、お腹が痛い、頭が痛いのなら病院へ行きましょう。起立性調節障害ということも考えられます。(有料コラムに起立性調節障害について書きました。)
勉強が苦手で不安なら、一緒に少しずつ勉強をすればいいと思います。
簡単なドリルを一枚でもいいです。毎日、楽しみながらできるといいですね。
毎日、毎朝、学校へ行く行かないで親子喧嘩はしたくないですね。
「行けそうなときは教えてね」でいいと思います。
仕事の調整など、親御さんは大変かと思いますが、できるだけ温かく見守ってください。
お子さんが走るのが好きなら、一緒にランニングしてマラソン大会に挑戦するとか、
お菓子作りが好きなら、一緒にカフェ巡りをして自宅でケーキを作ってみるのもいいでしょう。
動物が好きなら、犬を飼って散歩に行くこともできます。
そんなことは、とっくに考えている、行動しているご家庭も多いでしょう。
ありがとうございます。
毎日スマホ、SNS、ゲームばかりしている、と心配しているご家庭は多いかと思います。
でもそれは、不安から逃れるためかもしれません。
スマホを見ているとき、ゲームをしているときは現実から逃れて、不安を感じなくてもすむのかもしれません。
安易にスマホ、ゲームをするから夜型の生活になって学校へ行けないのだと考えないでほしいです。
家に引きこもらないように、子どもが出かけられる場所を確保してください。
買い物、塾、おばあちゃんの家、習い事など、社会との接点は必要です。
学校に行ってないのだから、家の中にいなさい、は不登校を長引かせかねません。
無理やり連れだす必要はありませんが、家以外にも安心できる場所があるといいですね。
不登校児の受け皿は有料のコラムに詳しく書きました。
学校に行きたかった
不登校を経験した子どもの中に、「学校に行けばよかった」という人がいます。
無理にでも学校に行かせてほしかった、勉強がわからなくなった、と後で親に不満を言うのは結果論です。
無理やり学校に行かせて自死を選ばれるより、不登校の方がよっぽどマシでしょう。
不登校になったのは親のせいではありません。(よほど家庭環境が悪くない限り)
行けばよかったとわかるのは、大人になったからです。
恨み言を言われても、気にすることはありません。
あなたは今出来ることを一生懸命しているのですから。
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子どもの不登校で悩んでいる方は、是非読んでみてください。
ポイント
- 子どもに、学校へ行けない理由を詰問しない
- 学校以外で社会との接点をつくる
- 今できることを一生懸命して、将来後悔はしない
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