母子密着

コミュニケーション能力はなぜ重要なのか
昨今、コミュニケーション能力が高い、低いなどと評価されることが多いですね。もちろんコミュニケーション能力が高い方が良いとされています。
それはなぜでしょうか。
他人の気持ちがわかる。空気が読める。他人と適切な距離をとれる。故に社会生活が上手くいくという構図です。
母親と子どもは、ある時期まで一体で、子どもは自分と母親との境界線が曖昧です。文字通り妊娠中は子どもはおなかの中いるわけですから、母子一体ですね。
生まれてからは、母親は何もできない子どもが泣くとミルクを上げ、オムツを取り換え、ぐずるとあやし、生存のためのあらゆることをします。
子どもにとって、母親は常に自分を満たす存在です。
子どもの成長とともに親との境界線(距離)ができて、やがて子どもは自立し独立していきます。多くの場合、親が意識せずとも、この過程を踏みます。
もし母子密着で境界線が曖昧であったならどうでしょう。このような家庭で育った場合、親の過干渉や虐待が起こり健全な家庭は運営されません。
このような家庭で育った子どもはどうなると思いますか?
他人に過度な密着を求めることがあります。恋人に何度も電話をしたりLINEをしたり、自分を好きか相手の気持ちを何度も確認します。
また、相手の何もかもが知りたくて、相手の心や行動を支配したくなります。逆に、相手の関心が欲しくて過度に従ったり、過度な行動(自殺未遂など)をしたりします。
他人との適切な距離は、社会生活を送るにおいてとても重要なのです。それをコミュニケーション能力が高いといいます。
母子密着は母親のかかわり方で発生します。子どもがどんなに母親に甘えても、適切な子育てであれば、母子密着は起きません。子どもは成長し自立していくからです。
過干渉や虐待をする母親も発達障害や何かしらの育ちの問題を抱えていることもあります。今ここで、過干渉や虐待をする親を責めるつもりはありません。その方も苦しんでいると思います。
この文章を読んでいただいているあなたが、もし苦しんでいるのなら、カウンセリングを受けるなど助けを求めてください
コミュニケーション能力の高い子を育てるには
ではコミュニケーション能力を高くする育児とは存在するのでしょうか。
「適切な時期に適切なかかわりをする」だけです。
もし子どもが一人っ子で、人とのかかわりが希薄と感じるのであれば、チームでするスポーツをさせるのもいいでしょう。サッカー、バスケットボールなどです。ラグビーもいいですね。
1人でお風呂に入りたい年頃になったら、一人でどうぞ。
友だちと遊びに行きたい年頃になったら、どうぞいってらっしゃい。
危険なことは避けるべきですし、そこは親として注意を払うべきですが、できるだけ子どもにチャレンジさせてください。
もし、一人で何かを黙々としたいタイプのお子さんなら、一人でさせてあげてください。
要は、子どもを一人の人間と認めるということです。
親の思い通りに育てよう、子どもはこうあるべきという自分の狭い常識にとらわれることなく、育ててください。
どうあがいても、子どもは思った通りに育ちません。
子どもは親を超えていくべきです。
自由に羽ばたいた子どもが、親に新しい世界を見せてくれます。
とても親孝行なことだと思います。

ポイント
- 母子密着が過剰になると、社会での適切な距離感が身につかない
- コミュニケーション能力の育成には「適切な時期に適切な関わり」が重要
- 子どもを親の思い通りにしようとせず、一人の人間として尊重する