誰が国語力を殺すのか

言葉の重要性
「誰が国語力を殺すのか」石井光太著
最近読んだとても面白い本です。面白いとは、腹を抱えて笑う可笑しさではなく、興味を持って読んだという意味です。
このように、一つの言葉でもいろいろな意味があります。
言葉でコミュニケーションをとるためには、言葉を知らなければいけません。
「あなたの話はおもしろいですね」と言われて、笑える話をしていないのに、何が面白かったのだろう、と思う人がいるかもしれません。
私は小さなお子さまの保護者には、読み聞かせをお勧めしています。
小さいころからたくさんの言葉のシャワーを浴びて育ったお子さんは、語彙が多く情緒が安定します。
言葉で理解できるとともに、行間が読めたり、他人の気持ちを理解できたり、他人を想いやることもできます。
人が泣いているときに、哀しい、悲しい、痛い、嬉しい、感動している、絶望しているなど、どの状況なのか想像する力も育ちます。
「泣く=悲しい」だけではありませんよね。
「ごんぎつね」を読んで
「誰が国語力を殺すのか」の冒頭で「ごんぎつね」新美南吉さんの児童文学の解釈について書かれています。
「ごんぎつね」――兵十が病気の母親に食べさせるためにとったウナギを、いたずら好きのごんが盗みます。母親は死んでしまします。ごんは悪いことをしたと、兵十の家に栗やまつたけを持っていきます。ある日、ごんを見つけた兵十は火縄銃で撃ち殺してしまいます――
兵十の母親の葬式の日、大きな鍋で村の女たちが何かを煮ています。
ごんの視点で書かれているので「何か」なのですが、さて何を煮ているのでしょう。
石井先生が小学校4年生の国語の授業を見に行かれたときの話が書かれています。ネタバレになるので書きませんが、まさかと思う内容です。
国語力
文科省の定義では、国語力とは「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」です。
つまり、すべての学力の基礎であり、コミュニケーション能力、社会性の土台になる力です。
国語力が育たないことによって、将来、子どもたちが社会に適応できなかったり、他人との信頼関係を結べなかったりするかもしれません。
他人を想いやったり、他人の気持ちを想像することがでなければ、コミュニケーションは取れません。
言葉が通じる幸せ
言葉、気持ちが通じないと、人はストレスを感じます。
最近、モラハラ夫の妻はカサンドラ症候群になると言われています。
これも、適切なコミュニケーションが取れないことのストレスからだそうです。
人間はコミュニケーションと取りたがる生き物です。
ベビーサインというものがあります。まだ上手に話せないお子さんと簡単な手話のようなもので意思の疎通を図るものです。
以前、私の教室に通っていた親子がベビーサインを使っていました。
そのお子さんにはいわゆる「いやいや期」が存在しませんでした。
お子さんの気質もあるでしょうが、意思が伝わることでストレスが少なかったのではないでしょうか。
国語力を伸ばす
国語力を伸ばすには、まず語りかけ、読み聞かせです。できるだけ早くから、生まれてすぐ、妊娠中からでもできます。
赤ちゃんに話してもわからないだろう、などと思わず話しかけてください。
散歩中に「いいお天気だね」
お風呂で「気持ちいいね」
ご飯を食べて「おいしいね」
普通に話せばいいのです。無理に赤ちゃん言葉を使う必要もありません。
親子のコミュニケーションが国語力の基礎になります。
仕事から帰って、急いで家事をしてそんな余裕はないと言われるかもしれません。
少しでもいいです。心と目と手を子どもに向けてください。
それが、その後の子育てを、何倍も楽に楽しくしてくれます。
「誰が国語力を殺すのか」石井光太著 ごんぎつね、お子さんに質問してみると面白いかもしれませんね。この場合の面白いは、どういう意味で使っているか想像してみてください。
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